
Story
誰を憎めばいい?
何も分からないんだ。
…ただ怖い。
一人は心を読む力を持ち、
一人は脳を操る声を持った。
またもう一人は終わりなき身体を持って、
永遠という時を与えられた。
彼らを囲む人々、
胸を揺さぶる新しい出会い―。
そして、予期せぬ再会。
そのすべてが夢のように、
激しく不条理に駆け巡る。
―触れたくない。
―声が枯れれば
―終わりない悪夢に今
目を覚ます。
舞台はイタリア、フィレンツェのとある街。
陽気なその街を裏で牛耳るのは、反目の二大勢力
過激派の”ビアージョ=ファミリー”と頭脳派の”ヴェニーロ=ファミリー”。
ビアージョ=ファミリーに入ったばかりの新人-エイル・マッカーソンは、教育係であるオルフェ・エスコーラと出会う。
明るく無邪気なエイルとは対照的に寡黙で無愛想なオルフェ。不器用に、それでも少しずつ心を通わしていく二人であったが、ある時エイルはオルフェの特別な力を目の当たりにする。その力は「チートギミック」と呼ばれ、ある施設で植えつけられたものであると知る。
人と違う。そんな孤独を抱えたオルフェだが、彼には同じ孤独を持つ二人の幼馴染がいた。
一人は敵対するヴェニーロファミリーの主戦力、チェスター・ブライド。
もう一人はクラブ=キャバレット・デ・ジッリョを経営し、裏の世界で顔の広いシャルド・ツェツィーリア。
彼らもまた、それぞれのチートギミックを持っていた。
犯罪者の子どもを収容する施設「バンビーノ」
今となっては別々の道を歩む彼らだが、三人はそこで外と隔離された幼少期を共にした。
―嗚呼。されど偶然とはいえ、思わぬ事件が彼らを再び引き合わせることとなる。
「ヴェニーロの息子、アレクが攫われた」
運命の女神は微笑みをこぼし、静かに不穏な鐘を鳴らす。
弧独と闘いながら生きる意味とは。
眠りについた心が目覚め、凍てつく世界に問いかける。
「されどチーターは夢をミる」